刑事の勲章


刑事の勲章(しがらみ)あるいは・・・デカなれの果て

新参者
横山秀夫陰の季節(D県警シリーズ)  刑事の勲章 二渡真治 (仲村トオル)


横山秀夫・D県警シリーズ

# 書名 (刊行順) 発刊 備考
1 陰の季節
  (短編集) [開閉]
1998/10/__ 第五回松本清張賞
「陰の季節」「地の声」「黒い線」「鞄」
  ├ 陰の季節  (1998/07/) 「文芸春秋」1998年7月号
  ├ 地の声  (1998/09/) 「オール読物」1996年9月号
  ├ 黒い線   書き下ろし
  ┗ 鞄   書き下ろし
2 動機
  (短編集)
2000/10/10 第53回日本推理作家協会賞
「動機」「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」
(動機の舞台はJ県警U署でD県警ではない)
3 FACE
  (短編集)
2002/10/__ 似顔絵婦警・「黒い線」の平野瑞穂が活躍。
「魔女狩り」「決別の春」「疑惑のデッサン」「共犯者」「心の銃口」
4 64 (ロクヨン)
  (長編)
2012/10/__ 第10回本屋大賞第2位
5 刑事の勲章
  (短編)
2002/02/__

2016/04/__
「オール讀物」02年2月号初出(書籍未収録)
(スナックママ殺し事件の話)
電子書籍のみでの販売
  警察小説の多くは捜査畑の人物が主人公だが、D県警シリーズでは主に人事畑。警察組織内の問題に焦点を当てている。 「動機」ではJ県警本部の企画調査官が主人公だが、ドラマ化ではD県警シリーズ(二渡真治)の原作として扱われている。 捜査畑の小説としてはF県警強行班シリーズ(後述)などがある。

刑事の勲章 って なれの果て?


  OB会(警友会・一の会)の席にて、本部勤務の二渡真治[警視]と所轄に移動した上原勇三[警視]との会話。刑事の勲章もしくは刑事のなれの果てについて話されている。

上原 「見えますか。あなたが見てこいって言った違う景色ですよ」
上原 「あれが動の湯上沢です。現役時代、本部長表彰5回とってます。退官して5年。今でも現役気取りだ」
二渡 「その隣が静の葉山か」
上原 「ええ、こちらも本部長賞4回。退官後も湯上沢と競い合ってるんです。これが刑事ってやつのなれの果てだ」
二渡 「おまえもあのままだったら警務の世界でそうなっていた」
上原 「だから島流しにしたってことですか」
二渡 「2年といったはずだ。その間、精進しろ。・・・・・・傷さえつくらなければ本部に戻れる」
上原 「俺は監察時代に同期の刑事に引導わたしたことが、あんなふうにはなりたくないですからね」

  (末席にいる上原を、離れた上座にいる湯上沢が呼びつける)

湯上沢「おう、トーシロの刑事さん、ちょっと来い・・・・・・座れ」
湯上沢「まず手帳をみせてみろ。おまえが本物のデカかどうか確かめる」
上原 「手帳はありません。一括保管で署に置いてきました」
湯上沢「やっぱりそうか。こいつはデカじゃねぇよ。手帳すら持ってねぇんだから。デカだったら、手帳、手放さねぇよ」
上原 「じゃ、お聴きしますけど、刑事の勲章ってなんですか」
湯上沢「賞なんて問題じゃねぇよ。継続だ。続けることが刑事の勲章なんだ。おまえら事務屋とは違うんだよ」
上原 「なんですか、そうやって事務屋を目の敵にする。刑事が活躍できるのも、神輿かついでる、われわれ事務職がいるからじゃないですか」
湯上沢「なにを言ってやがるんだ、この野郎」

  (TBS[仲村トオル]版の「刑事の勲章」のOB会部分を文字起こしした)
  不良警察官のなれの果て

刑事の勲章 って しがらみ?


(二渡と上原が、かって上原が切った猪熊のことを話しているところに、松岡勝俊[捜査一課長]が語る)

松岡 「デカは斬らないんだよ、上原。・・・それが刑事の勲章なんだ。

殺しのホシも、たたきのホシも、その女房・子供も、協力者も、先輩も、後輩も、みんなズルズル引きずってく。・・・それがデカだ。

大事だ、面倒だ、切ってしまいたいときもある。だが切らないのがデカだ。

何百、何千という人間と死ぬまで繋がっていることが、刑事の最大の勲章なんだよ」

  (仲村トオル版の「刑事の勲章」で捜査一課長(三浦友和)が一方的に語る部分を文字起こしした)


  上のセリフ、原作では葉山(警察OB)が上原に言っている言葉が該当する。葉山によって上原は嵌められた。上原が切った猪熊は葉山の愛弟子とでもいうべき存在。つまり葉山の上原に対する嫌がらせは猪熊を切ったことへの意趣返しだったのだ。

葉山 「刑事は仲間を切ってはいけない。仲間も犯人も被害者たちともずっとつながっているのが刑事であり、それは刑事の勲章なんだ」
  刑事のしがらみ
  ポリスマン列伝 刑事の勲章   ポリスマン列伝 二渡真治

刑事の勲章(しがらみ、なれの果て)の弊害

  刑事の勲章ってなんだ。退官後も(なんら公式な権限を持たずに)捜査活動を続けることなのか。迷惑な話だ。現役の刑事にとっても、世間一般にとても実に迷惑な話だ。先輩風をふかして現場に口を挟もうとする。

  現役の刑事は、「老いぼれは引っ込んでいろ」と内心は思っていても、デカのしがらみで従うしかないのだろうか。実に情けない話だ。くだらないしがらみを断ち切ることこそが刑事の勲章ではないのだろうか。

  「陰の季節」では金銭は絡んでいないが・・・、現実の社会ではおうおうにして金が絡む。警察OBを売りにして金を貰って、極悪詐欺師に同行して所轄警察署に顔をだす。金を貰えば目も曇る。いつまでも現役気分が抜けないようなOBは迷惑そのもの、ときには捜査妨害になろう。そして金が絡むとなると、かぎりなく犯罪に近づいていく。

  不祥事予備軍の素行不良警察官を追い出して警察組織を守れ! [policemaniacs]
  警視庁監察係 素行不良の警察官を炙り出す方法│NEWSポストセブン
  ダーティ刑事のなれの果て

D県警シリーズ・(群馬県警版) 映像化

# ドラマ / 映画 映像化 備考
1 陰の季節
(原作:陰の季節、黒い線)
 
2016/04/18
月曜名作劇場
 
TBS(主演・仲村トオル)群馬県警版
(「黒い線」から似顔絵かき婦警の話題)
 
2 刑事の勲章
(原作:刑事の勲章、動機)
 
2016/04/25
月曜名作劇場
 
TBS(主演・仲村トオル)群馬県警版
(「刑事の勲章」からスナックママ殺害事件)
(「動機」から警察手帳紛失の話題)
= 64 (ロクヨン)
(原作:64 - ロクヨン)
 
前編 16/05/07
後編 16/06/11
 
東宝(主演・佐藤浩市)群馬県警が舞台

 
  「刑事の勲章」は過去2回、TBSによってドラマ化されている。舞台となる県警は上川隆也版が神奈川県警(後述)、仲村トオル版が群馬県警。そして「64」の群馬県警につながっていく。 小説では「陰の季節」のみ二渡真治が主人公である。
 



D県警シリーズ・(神奈川県警版) 映像化

# ドラマ 映像化 備考
1 陰の季節
(原作:陰の季節)
2000/05/01
月曜ドラマ
スペシャル
短編集『陰の季節』所収「陰の季節」
 
陰の季節 (ドラマ Wiki)
2 動機
(原作:動機、黒い線)
2001/01/29
月曜ドラマ
スペシャル
短編集『動機』所収「動機」
短編集『陰の季節』所収「黒い線」
 
3 密告
(原作:地の声)
2001/12/24
月曜ミステリー
劇場
短編集『陰の季節』所収「地の声」
 
 
4 失踪
(原作:看守眼)
2002/10/28
月曜ミステリー
劇場
短編集『看守眼』所収「看守眼」
 
 
5 事故
(原作:鞄)
2003/03/17
月曜ミステリー
劇場
短編集『陰の季節』所収「鞄」
 
 
6 刑事
(原作:刑事の勲章、警告)
2003/09/13
月曜ミステリー
劇場: TBS
「刑事の勲章」は「オール讀物」02年2月号
「警告」もたぶん「オール読物」掲載
(「刑事の勲章」はスナックママ殺害事件)
(「警告」は警察署葬の話題?)
横山秀夫サスペンス 陰の季節6「刑事」
7 清算
(原作:清算)
2004/11/29
月曜ミステリー
劇場
「オール読物」2002年8月号掲載
 
 
  TBS(主演・上川隆也)神奈川県警版。 「刑事の勲章」は過去2回、TBSによってドラマ化されている。舞台となる県警は上川隆也版が神奈川県警(ドラマのタイトルは「刑事」)、仲村トオル版が群馬県警(前述)。 原作は「刑事の勲章」だけではなく、上川隆也版では「警告」、仲村トオル版では「動機」のエピソードを交えている。
 


映画『64-ロクヨン-前編/後編』 徹底ガイド 【驚愕の展開】ストーリー編

横山秀夫・F県警強行班シリーズ

# 書名 (刊行順) 発刊 備考
1 第三の時効
  (短編集)
2003/02/05 沈黙のアリバイ、第三の時効、囚人のジレンマ、密室の抜け穴、ペルソナの微笑、モノクロームの反転
  ├ 沈黙のアリバイ  (2001/09/) 『小説すばる』2001年9月号掲載
  ├ 第三の時効
 (2002/02/) 『小説すばる』2002年2月号掲載
ザ・ベストミステリーズ―〈2003〉
  ├ 囚人のジレンマ  (2002/04/) 『小説すばる』2002年4月号掲載
  ├ 密室の抜け穴  (2002/07/) 『小説すばる』2002年7月号掲載
  ├ ペルソナの微笑  (2002/09/) 『小説すばる』2002年9月号掲載
  ┗ モノクロームの反転  (2002/11/) 『小説すばる』2002年11月号掲載
- 第四の殺意
  (短編)
2003/12/__ 『小説すばる』2003年12月号掲載
孤独な交響曲―ミステリー傑作選(講談社文庫)
ザ・ベストミステリーズ―〈2004〉
- 永遠の時効
  (短編)
2006/03/__ 『小説すばる』2006年3月号掲載
名探偵の奇跡―日本ベストミステリー選集
  F県警強行班シリーズはF県警捜査第一課、それぞれアクの強い、個性的な三つの班(係)の班長、朽木、楠見、村瀬に率いられた刑事たちが、競い合いながら捜査にあたる。「第四の殺意」では第4班が新設される。班長は浅倉警部補。プロファイリング部門である。

F県警シリーズ・(山梨県警) 映像化

# ドラマ 映像化 備考
第三の時効シリーズ
1 沈黙のアリバイ

2002/07/08 月曜ミステリー劇場(TBS)
2 第三の時効

2003/02/24 月曜ミステリー劇場(TBS)
3 密室の抜け穴

2003/05/05 月曜ミステリー劇場(TBS)
4 ペルソナの微笑

2004/05/03 月曜ミステリー劇場(TBS)
5 囚人のジレンマ

2004/09/13 月曜ミステリー劇場(TBS)
6 モノクロームの反転

2005/06/13 月曜ミステリー劇場(TBS)
モノクロームの反転
ドラマの設定は山梨県警(捜査一課強行班係)。尾関刑事部長(寺田農)、田畑捜査一課長(橋爪功)、朽木・一班長(渡辺謙)、楠見・二班長(段田安則)、村瀬・三班長(伊武雅刀)。
- 永遠の時効

2014/06/25 水曜ミステリー9(テレビ東京)
水曜ミステリー9:テレビ東京
「永遠の時効(テレビ東京)」の設定は「第三の時効(TBS)」と同様に山梨県警(捜査一課強行班係)となっている。

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ダーティ刑事のなれの果て
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不良警察官のなれの果て
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